散財の証明:NTTドコモ SigmarionⅢ
なんでもできるが、なんにもできない。それがこのシグマリオン3だ。

そなわったチカラをおもいっきり活かすことができればかなりのことができるのだが、そのためには知識や経験やソフトやハードがそろっていなければダメで、吊しのままではとんな使いかたをしてもいまいち使えない。そんなやつなのだ。
たとえばソフト。シグマリオン3のOSは特別製で、PC用のウィンドウズではなくてウィンドウズCEというモバイル向けのものだ。しかも名前はおなじウィンドウズCEを使っているポケットPC用のものともすこしちがう。いわばシグマリオン3専用といってもいい。だからシグマリオンで使えるプログラムは専用のものだけで、使えるソフトはあまりない、ということになっている。
だけどじつは抜け道がある。ポケットPC用のプログラムはすでにたくさんあるのだが、これをちょっといじってあげるとシグマリオン3で使えるようになることがあるのだ。どこをどうするのか、手を入れれば使えるようになるプログラムはなにか。こういう情報がなければ、使いたいソフトが使えないわけだ。
ハードもそうだ。シグマリオン3にはいくつかコネクタがついている。すこし形がちうのだけれども、じつはこのなかにパソコンでも使われているUSBのコネクタがある。これに気づかなければUSBのメモリやマウスなどを使うことはできない。
それからシグマリオン3はドコモの製品だから、通信するばあいはドコモのケータイやピッチを使ってね、ということになっている。じっさい使ってみても他社のものでは通信できないのだが、いまではこれにも抜け道がみつかっている。移動中ひんぱんにデータ通信をするモバイラーなら、定額制のサービスをいちはやくスタートさせたDDIポケットのサービスをすでに使っているはずだから、それをシグマリオン3でも使うことができるわけだ。この情報を知らなければ、シグマリオン3で通信するためだけにドコモの回線をもうひとつ契約することになる。
いろいろ例をあげたが、いちばんの問題は、こういった情報が公式にはまったくないことと、それがシグマリオン3にだけあてはまる情報ということだ。
ようするに、シグマリオン3をモバイルで活かそうとおもったら、まずはシグマリオン3というキカイについてくわしくならなければならない。しかもそれは、ほかのキカイでは使えないつぶしのきかない知識だ。モバイルにキカイを使おうとしているのに、まず先にキカイに使われないといけないわけだ。
こういうわけだから、シグマリオン3は、電脳小物をつかいたおすことが目的になっている趣味モバイラーにはよくできたおもちゃで、モバイルコンピューティング道を切りひらかんとしている求道者からすればいささか困りもののキカイ、ということになる。
じつは、シグマリオン3を道具として使えるひともいないではない。それは、むかし趣味モバイラーとして本末転倒のかぎりをつくしたことがあるが、いまはそこから抜けだすことができたひとたちだ。
こういったひとはシグマリオン3を使うにあたって必要な知識の前提をすでにもっているし、情報の集めかたもうまいから、使いこなすためにそれほど手間がかからない。あとは使いたおしの誘惑にさえ打ち勝てば、すぐれたモバイルのための道具としてシグマリオン3を使っていける。すくなくとも、理屈上はそうなる。
そんなわけだから、あるていどモバイル道に理解があるなら、自分は道具として使ってみせる。そう思ってシグマリオン3を買ったはずだ。しかしそのうちの何割かは確実に、シグマリオン3のあやしいミリョクにひかれて趣味モバイラーへともどっていったのではないか。そう思わせるなにかが、シグマリオン3にはある。
ところで、わたしはいったいどちらのグループに含まれることになるのだろうか。趣味モバイラー組ではない、と断言できるほどの自信は、いまのところ、まだ、ない。
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