【モバイル談義】ノートPCの電池はどのぐらい持てばよいか
モバイルというからには、電源のない場所でノートパソコンを使うこともある。そんなとき、どのぐらいのあいだ電池で動けばいいのだろうか。
いまのわたしの結論は、「ひと仕事終わるぐらい。だいたい2~3時間ももてばいいや」というものだ。それはなぜか。
ノートパソコンにかぎらないが、電気製品の電池の持ちを考えるときにはいくつかの境界線がある。
まず、ひと仕事するあいだ持つかどうか。
つぎに、まる1日使えるかどうか。
そして、充電や交換なしで数日間から1週間ていど使うことができるか。
電池駆動のときにひと仕事すらできないものは、停電やコンセントが抜けたときの非常用電源ていどの意味合いしかない。逆に1週間以上も持つなら、その余裕を軽量化や高速化といったほかの面での向上にあてたほうが、ふつうの用途ではバランスがいいだろう。
「ひと仕事」の次のレベルを「丸1日」にしたのにはわけがある。まる1日もたないとしたら、電池が切れたときのために、替えのバッテリやACアダプタを用意しなければならなくなってしまうからだ。
まる1日電池で使っていられるなら、そうした余分な準備なしに本体だけでもちはこぶことができる。中途半端に長く持ってもそうしたメリットは生まれない。その差ははっきりとしている。
そして、充電ができないとか充電するのを忘れてしまったときに翌日も安心して使えるかどうか。そのちがいが「丸一日」と「数日間」レベルの差だ。
むかしのケータイは1日で電池残量が半分以下になることがめずらしくなかった。うっかり充電を忘れてしまったなら、翌日の午後には電池が切れてしまうことも充分ありえた。だからケータイを仕事で使っている場合、職場にACアダプタや替えの電池パックを常備しておかないと、あぶなっかしくて使っていられなかった。ケータイの電池が「数日間」レベルで持ついまはそんなことはしなくてすむわけだが、これがパソコンであってもおそらくおなじことになるだろう。
ここで話を転じて、バッテリ駆動時間がどうやって決まるかを考える。これは、バッテリ側の要素として、それに割り振ることのできる重さとスペース、そしてバッテリの性能の2つがある。また電力消費量を決める要素として、実現する性能と機能の水準と、それらの消費電力効率。これらをあわせた4つの要素のかねあいで、バッテリ駆動時間は決まる。
消費電力の面でいえば、年々要求レベルがあがってゆく処理性能と、それぞれのパーツの省電力化は、ほとんど同じぐらいの速度ですすんでいる。けっきょく、消費電力そのものはずっと横ばいになっているのが現状だ。いくら省電力化をすすめても、その余裕を性能に振り向けてしまっているのだ。
つづいてバッテリ側だが、ノートパソコン全体のサイズを変えられない以上、これに割り当てられる質量とスペースはほぼ一定といっていい。バッテリの性能をあらわす電源効率も、その根本の方式が変わらなければ劇的な改善はありえない。事実、いま主流となっているリチウムイオン充電池への切り替えがおわってからは、急激な進歩はおこっていない。
これらのことからわかるのは、「性能をおさえて電池の搭載量を増やさなければバッテリ駆動時間はのびない」という、ごくごくあたりまえのことだ。
以上でのべた「電池持ちの境界線」と「バッテリ駆動時間を決める要素」の2つを考え合わせると、「今の技術水準を前提とするかぎり、『ひと仕事』レベルの電池持ちにするのがいちばんバランスがいい」という結論になる。
「ひと仕事」レベルなら無理なく達成できるけれど、これを「丸1日」レベルに底上げするには、あまりに多くのものをあきらめなければならなくなってしまうのだ。
人によって「ひと仕事」の内容は異なるだろうが、長めに見て3時間もあれば意味のある単位の作業を1つや2つはこなせる。朝9時から仕事をはじめて午前中いっぱいかかっても中途半端な成果しか上がらないとしたら、それは仕事のしかたのほうに問題があるはずだ。
それにパソコンに向かって集中して作業していたなら、2~3時間ほどで人間のほうがつかれてしまう。だからこのへんが「ひと仕事」レベルの現実的な数字になる。
じっさい、いまのノートパソコンのほとんどがカタログスペックで3~4時間、使ってみた感じでも2~3時間ていどという、「ひと仕事」レベルの電池駆動能力となっている。
もちろん例外も一部あって、ほとんど電池で使うことのないデスクトップ代わりのノートは1時間ちょっとぐらいの「非常電源」レベルのことが多い。また、ごく限られたサブノートは「丸一日」レベルになんとか手がとどくぐらいの、8~10時間といった長時間駆動を実現している。
ただ、デスクトップ代わりのノートは低コスト化のためにバッテリの質やパーツの消費電力を無視しているし、長時間駆動のサブノートはいまの水準から見てめちゃくちゃに性能が低かったり、性能をおさえたうえでバッテリを多量に搭載するという、バランスをかえりみないやり方をとっている。それはそれで意味のある選択だと思うが、それはつまり普通のノートパソコンではおなじ方法論が使えないということをあらわしている。
もっともここ数年は、いま以上に高度でマシンパワーを使う用途の開拓が難航しているせいもあって、わりと性能面で余裕がでてきた。そのため、その余裕を軽量化に振り向けるマシンも多くなっている。
しかしこれも、バッテリ駆動時間のレベルを「まる1日」というつぎの水準まであげることができないから、中途半端に長持ちさせるよりも軽量化したほうがいい。そう判断したのだと説明したほうが道理にかなう。
これらの実例からも、いまの技術では「丸1日」レベルの実現はむずかしく、それならば「ひと仕事」レベルでほかの面を充実させたほうが、パソコンとしての総合的なバランスはよくなる。そう結論づけることができる。
まあホントのところ、「持てば持つほどいいに決まっているだろう」というのが本音ではある。燃料電池をはじめとして次世代デバイス実用化の足音が聞こえてくるこのごろだが、まだまだ向上の余地はのこっていると信じたい。
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