デジタルブック先取り計画:書籍解体編
デジタルブック先取り計画の概論編でのべたように、本をラクにスキャンするためには、まずは紙の束にまで解体する必要がある。こうしてしまえば、スキャンをオートシートフィーダのあるスキャナでまとめて片づけることができるからだ。
はじめに、この作業で大きな役割をはたす裁断機について見てゆく。
裁断機とはこんなやつだと思っていた。しかしいまは、よりすすんだディスクカッターというタイプのものが主流らしい。
これは、簡単・正確・安全と3拍子そろった、とても洗練された文具だ。使い方もカンタンで、紙束をセットして、紙押さえ兼カッターレールで固定し、カッター部を何度か上下に滑らすだけ。わたしが使っているのはDC-210という機種なのだが、これは40枚ほどをいちどにカットできる。
とはいっても、40ページ未満の本などめったにない。このディスクカッターをつかうという前提で、本のほうを解体する必要がある。その手順は次のとおり。
(1)本体から表紙を剥がす
表紙・裏表紙を大きく開き、のり付けされている背表紙部分を気をつけてゆっくり剥がす。
背表紙の裏の部分の紙がいくらか本体側にのこってしまうが、慣れればほとんど無傷で剥がすことができるはずだ。
(2)裁断できる枚数ごとにまとめて裂く
ページを破かないように数十枚単位で、背表紙ののり付け部分からちぎるようにして引き裂く。
枚数があまり少ないと紙に力がかかりすてさけることがあるし、多すぎると引き裂きにくい。紙質にもよるが、30~50枚ていどで裁断に都合のよいぐらいの枚数にするのがよい。
(3)裂きおわったページの背表紙側の、のり付けされている部分を切り落とす
裂きおわると小冊子のようになるが、背表紙側はのりで張り付いたままだ。この部分をざっくり切り落とす。
ページ間にのりが入りこんでいるので、これがのこらないようすこしよぶんに、といっても本文まで切らないように注意する。のりが残ると、オートシートフィーダで読み込むときに複数ページを一緒にすいこんだりジャムったりしてしまう。
またこのとき、まっすぐ切るのはもちろん各ページの幅がおなじになるように気をつけること。スキャンの時に斜めにすいこんでしまい、読み取りデータがかたむく原因となる。
説明は長いが手順は3つだけで、すぐに慣れるかんたんな作業だ。
はじめて本の解体に取り組んだときは、半日もかかりふちがボロボロの紙束をつくるという悲惨な結果だった。いまでは道具と手順がととったので、5~10分ほどできれいな紙束ができあがる。
さいごに、心理的な問題についてふれる。
本には多かれ少なかれ「気持ちがこもる」ものだ。だから、その本のカタチをこわしてしまうことには心理的なためらいがわきおこるだろう。
はじめて本を解体することにしたときは、わりと思い入れが薄くて、もういちど入手できそうなものを選んだ。しかしそれでももったいないとか、せっかく製本されているのに申し訳ないとか、ちょっとうしろめたさを感じたのが正直なところだ。
しかし、自宅の本棚に置きっぱなしでホコリをかぶらせているのが、本を活かしていることになるのか。
たとえ電子本というデジタルデータにカタチは変わったとしても、いつでも持ちあるいて必要なときに利用できるようにしたほうが、本のほんらいの目的をよりよく満たしているはずだ。そのように考えることにしている。
とはいっても、いまでも本を解体する前や、取りこみ終わって古紙ゴミに出すとき、心がちょっと痛む。人間の意識や価値観はなかなか変えられないものだと思う。
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