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2004.01.09

散在の証明:SONY MPD-AP20U

小型機が登場したiPODや、大容量のあたらしい規格も登場したMDなど、ポータブルの音楽再生機は次なる世代に進んだ感がある。その変化のなかで、ポータブルCDプレイヤーは死んでしまったのだろうか。
いや、まだこういう手がある。その方向性を教えてくれるのが、この「MP3対応DVDポータブルオーディオプレイヤー」MPD-AP20Uだ。

MPD-AP20U.jpg

ちかごろは、カセットやCDやMDを媒体とした、いわゆる"ウォークマン"とは一線を画する、iPODを代表としたデジタルオーディオプレイヤーが売れまくっている。
その理由としては、フラッシュメモリやハードディスクが大きくて電池を食わなくなってきたこともあるが、音楽をデジタルデータとしてあつかう環境がととのってきたことが大きい。いつか述べたように、デジタルの便利さは、いちど味わったら後もどりできない快感だ。

ただ、iPODのようなHDDプレイヤーや、フラッシュメモリに書きこむタイプのプレイヤーは、「メディアまるごとの交換がやりにくい」という大きな弱点がある。

媒体となるHDDやフラッシュメモリ自体がけっこう高いということも、ひとつの理由だ。しかしそれよりなにより、著作権保護がとにかくうるさい。仮に、なんでもありで無法地帯のパソコンに、自由にデータを流せるしくみにしたとする。すると、ハゲタカのような音楽業界が、著作権の保護と、起こりもしなかった"機会損失"とやらを楯に、ゼニをむしり取りにたかってきてしまうのだ。
そこで、専用のソフトでしか音楽データを送れないようにして、データのコピーをできなくすることで、ハゲタカどもに対するエクスキューズにしているわけだ。

そんな現実主義者ばかりの世の中だが、MPD-AP20Uはひじょうにアグレッシブだ。このポータブルディスクプレイヤーの何よりの利点は、DVDという大容量の交換可能なディスクに書きこんだ「生のMP3」が、なんの制限もなく再生できることにある。
これは、事実上、著作権保護という現実世界のクサリを無視して、音楽に関する「デジタルのチカラ」をかぎりなく解き放つことができる、ということを意味している。

音楽などのデータを保存するメディアには、それぞれ特色がある。CDやDVDがすぐれている点は、カンタンにディスクを交換でき、そしてそのディスクを末端のユーザ自身が、手間なく安く自由に作成できることだ。
これはメディアの特性と著作権保護のクサリのふたつにしばられた、いままでのデジタルオーディオプレイヤーにはなかった点で、MPD-AP20Uにだけ備わっている特質だ。


とはいっても、ひとつの製品としてみればあまりに電池の持ちが悪いし、いまどきのディスクマンとしては大きくてかさばりすぎる。MP3プレイヤーとしてはタグの日本語表示にも対応してほしいし、せっかく大量の曲データが収まるのだから、再生プログラムもiPODのようにひと工夫してほしい。
こういった点をはしから順に改良してゆけば、オーディオプレイヤーとしてすばらしく完成度の高い製品になるはずだ。

しかし信じがたいのは、こういう法的な面でいえばグレーというか濃い灰色の製品が、台湾などの無名メーカーではなく、著作権ビジネスを抱える会社であるソニーから売り出されていることだ。

まあ、1年以上前に登場し、そのあと改良機も出ないところをみると、ソニーとしては「若気の至り」以外の何者でもなかったことは、誰の目にも明らか、なのだろうけれど。

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