ΣBook【散財の証明】
ΣBookがやっと出た。
以前から出る出るというハナシだけは出ていたものの実物の販売となるとさっぱりで、3000台限定で2月20日発売としてなんとか2003年度中という公約を守った、というのが実情のように思える。
こういった電子書籍ビューアに何を期待するかは人それぞれだと思うが、わたしの場合それは「スキャン済み書籍画像の専用ビューア」だ。一見モバイルとは関係なさそうなデジタルブック先取り計画を粛々と進めてきたのも、ΣBookのような専用ビューアが登場することを期待してのことだったわけだ。
そんなわけだから、ΣBook.jpや10DaysBookでの提供コンテンツが少なくて限られているとかデバイスとしてのできぐあい云々はともかくユーザーがΣBook向けのデータを作れるということが確認できたので、その直後に予約をした。実際手元に届いたのは発売日から1ヶ月過ぎたころになったのだが、話がそれるので別の機会にゆずることにする。
しばらく実際に使ってみたところ、荒削りではあるが、十分に目的を満たすだけの機能は備わっていると感じた。不満点はかなりあって、改善を強く要望したいところもいくつかあるが、それは使い勝手のうえで致命的なポイントではない。
9月までの期間限定ではあるが、無償扱いのΣBookBuilderというソフトを使えばテキストファイルやBMP形式の画像データを書籍データに変換できる。いちど書籍データにしてしまえばSDカードを経由してΣBookで読めるようになる。無圧縮BMPなのでファイルサイズが大きすぎるとか、見開き方向が指定できないだとか、フォントサイズやレイアウト等もっと細かい設定ができるようにしろとか注文は尽きないが、「ユーザーデータをΣBookで閲覧できる」という公約はいちおう守られている。
端末自体の使い勝手だが、いろいろと注文はあるにせよ、最低限のことはできる。1ページずつしかめくれなかったらどうしようなどと思っていたが、長押しすることで複数ページをいちどに飛ばすことができた。全体の設計として、ボタンの数をへらして使い手が迷わないようにするという思想が感じられる。これはこれで賢明な判断だ。
技術的な面ではΣBookの最大の特徴ともいえる記憶型液晶。これが諸刃の剣であろう。使っていて気付いただけでも、書き換え速度が遅い(実は使用上はあまり気にならない)・圧力をかけると変色する(外装が金属板であったりフレームが大きいのも、この対策で強度が必要なためか?)・書き換え時の濃淡が温度によってかなり変わる(表紙を手のひらに置くような持ち方をすると、体温が伝わるのか表示がテキメンに薄くなる)、といった弱点がある。おそらくコストも高いのであろう。
もちろんこの新型液晶のおかげで驚異的に電池が持つし、実解像度XGA+16階調表示でスムージングされるため表示はとても滑らか。そして見開き2面のため、書籍という既存のコンテンツと高い互換性を持たせることができている。今後改良が進めば、こうした利点が前面に出てくることになると思われる。
いま現在の話に戻すと、ΣBook自体がA5サイズ・液晶はB6か文庫本同等という物理的なサイズの問題がある。このため、いくら解像度が高いといってもスキャン元の用紙サイズが大きい場合、字が小さくなってしまって読みづらくなる。もとが文庫ならまったく問題ないが、A5やB5のものは文字が小さくなってしまってつらい。解像度自体は追いついているので目を近づければ読めるのだが、それが読みやすいかと問われたら答えはノーだろう。
また、片手で持つにはちょっと重い。それからボタンの配置の関係で片手だけではページがめくれない。くわえて大きさ的な問題もあり、大都市の通勤電車で利用するのは骨が折れるだろう。
なお、試しにΣBook向けのコンテンツを何冊か買ってみることもしてみたが、品質的には自作コンテンツと大差がない、というのが正直なところだ。ただ、容量だけは文字でも画像でも段違いに小さい。これはいま公開されているΣBookBuilderが実質β版であって、圧縮形式でファイルを作らないように制限をかけているとしか思えない。そういう方針ならそれでいいのだが、有償でもよいから早く圧縮対応版を入手できるようにしてほしい。
書籍ファイルの容量が大きいとSDカード1枚に収まる書籍の数にかかわるだけでなく、チェックアウトやチェックインも遅くなってしまってイライラする。そういった著作権保護はガチガチにかけるくせに、意図的にユーザーの使い勝手を悪くするような制限を設けるのはやめていただきたい。
いろいろと注文はあるものの、いままでの書籍に近いカタチの電子書籍を表示できるデバイスを、一般のユーザーが入手できるだけのカタチに落とし込んだのはΣBookが初めてだろう。ΣBookの登場によって、ようやくPCとは独立したデバイスで電子化した書籍が読めるようになったわけだ。この意義は高く評価したい。
とはいえ、これじゃ一般には売れないだろうと思う冷静な自分と、それでもなおかつ買ってしまう自分がいて、なんだか複雑な気分だ。
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コメント
ΣBookBuilder を お持ちならば もしよろしければ、是非譲ってもらえませんでしょうか? (当方は誤って消去してしまい、ダウンロードも出来なくて困っております。)
投稿: 中山 明 | 2010.04.03 01:22