モバイルデバイスを単体で使うとき、かならずお世話になるのが電池だ。そのなかでも外出先での入手性が高い乾電池は、昔からモバイラー御用達として広く使われてきた。
しかしいまではリチウムイオン方式などの充電池が主流となり、乾電池駆動のモバイルデバイスは数を減らす一方だ。HP200LXやモバイルギアなど、乾電池全盛時代のPDAを使いこんだユーザーからはこうした現状を嘆く声も聞く。
しかしこの乾電池、モバイルデバイス用の電源として本当にふさわしいのだろうか。
乾電池をはじめとする使い切りの一次電池が充電できる二次電池よりも便利だ、というのは、「電池切れたらただの箱」という、デジタルデバイスならではの問題点にもとづいた理論だ。
いつでもどこでも使いたい、使えないとこまる。電池が切れたときに替えの電池が用意できなかったり、そもそも交換できなかったりすると大変だ。それならば、いくらか非効率であっても、いざというときにそこいらでカンタンに手にはいる乾電池のほうがいい。
しかし、状況の変化によってこれらの前提はほとんど崩壊している。乾電池は汎用性が最大の武器であるが、それが仇となって現状のモバイルデバイスにはそぐわなくなっている。
電池の性能向上が、デバイスの高電圧化・消費電力の上昇に追いつけない
形状が規格化されているため、デバイスの小型化により筐体におさまらない
また、充電池側の改良も大きく進んでいる。
高電圧・高容量化により、ふつうの使用頻度なら1日~数日は持つようになった
方式改良がすすみ、メンテナンスがほとんど不要となった
ACアダプタが小さくなり、USBケーブルで充電できるなど、充電環境が向上した/li>
デバイスごとの専用設計のものがほとんどのため、小型で軽量になった
パック方式の採用が増え、交換可能のものが多くなった
要するに、ほとんどの場面で電池切れせず、充電や電池交換の便もよくなり、なによりも電池を買い込んでは交換するという手間がかからないという、明らかな利便性の向上がみられるのが今の充電池だ。つねに電池切れにおびえ、予備の電池が手放せなかったころとは時代が変わったわけだ。
今現在、乾電池駆動の必要性があるのは非常用であるとか未開地の旅行用といった、きわめてせまい用途だけだろう。
もっとも、あるていど電池が持つのであれば、乾電池でもほとんどメンテナンスがいらないといってもいい。そうなると充電池より初期コストが低いぶん、乾電池が有利だと考えることもできる。
じっさい、電子辞書のようなタイプのキカイは電源が乾電池でもまったくこまらない。こないだ買ったΣBookもそうだ。機能拡張がおちついて省電力化がすすむと、いつかまた乾電池の時代がやってくるかもしれない。
とはいえ、予備や使用済みの電池を10本以上もジャラジャラさせつつモバイルする、懐かしくも不便な状態にはけっして戻ることはないだろうが。